ガラスキャピラリーに、結晶化試薬とタンパク質試料を連続的に充填して拡散対(diffusion pair) を形成し、相互拡散させることでタンパク質結晶を得る方法は、古くからある方法として知られています[1]。DPOC法ではキャピラリーの素材を水透過性のあるシリコンゴムとすることで、DPOC容器の外側のリザーバ溶液と内側の溶液間の浸透圧差で、DPOC容器中の溶液が浸透濃縮されます。拡散対中の拡散現象はGT法と共通しますが、結晶化試薬の溶液量がタンパク質試料の溶液量と同程度のため、拡散現象だけではGT法よりも狭い範囲の結晶化条件しか探索できません。しかし、浸透濃縮を組み合わせることでより広い範囲の探索が可能となります。
[1] Salemme, F.R. A free interface diffusion technique for the crystallization of proteins for X-ray crystallography. Arch. Biochem. Biophys. 1972, 151, 533-539.