■ バッチ法によるタンパク質結晶化実験

〇 特徴

  • 少ない溶液量(1 µL程度~)にも対応 
  • 観察しやすい
  • キャピラリー内で結晶が長期間安定している
  • 結晶化試薬の濃度が時間とともに変化せず一定
  • 〇 リゾチーム結晶化実験 充填の手順

       —バッチ法によるタンパク質結晶化実験用キット(C-Kit ABE)を使用しています

       —自由研究、サイエンス体験学習に好適、キットのご購入はこちら

       ***学生さんが実験されるときには、必ず指導者の指導の下にお願いします***

    1. 溶液類(バッファー溶液、塩化ナトリウム溶液、リゾチーム溶液)は室温(20℃)にします。
    2. 溶液類を静かに振って、溶液を均一にします。
    3. 溶液を順にマイクロチューブに入れて、試料溶液を作ります。

      ・バッファー溶液 → 塩化ナトリウム溶液 → リゾチーム溶液の順に加えます。

      ・溶液を加えるごとに、マイクロピペットで静かに混ぜて、濃度が均一になるようにします(泡立てないように気をつけてください)。

    4. 毛細管現象を使って、試料溶液をキャピラリーに充填します。
    5. ・溶液がキャピラリー内を上がりにくい場合には、マイクロチューブを傾けると、溶液が上がりやすくなります。

      ・後でキャピラリーの両端をシーリングコンパウンドでシールすることを考慮して、充填する液量はキャピラリー長より10 mm程度短くします。

          

      ※毛細管現象で溶液がどうしても上がりにくい場合はマイクロピペットで溶液を吸い上げます。

        ・ピペットチップの先にシリコンチューブをつけて、その先にキャピラリーを装着し、マイクロピペットのダイヤルを回して試料溶液を吸い上げます。最後に5mm程度、エアーを吸い込みます。

        ・キャピラリーの先端をシーリングコンパウンドでシールしてから、キャピラリーをシリコンチューブから外します(シーリングコンパウンドで封止する方法は6.)。

        ・このあと6.に進みます。

          

    6. キャピラリーの両端にエアーを入れます

      ・溶液が端まで入っている側を上にして手に持ち、手を軽く実験台に打ち付け、端から5mm程度エアーを入れます。強く打ちすぎると溶液がキャピラリーから抜けるので気をつけてください。

      (両端にエアーを入れるのは、試料溶液とシーリングコンパウンドが接しないようにするためです。シーリングコンパウンドが試料溶液に接すると、結晶の生成を促進し、得られる結晶の数の再現性にばらつきが生じることがあります)。

    7. キャピラリーの両端をシーリングコンパウンドで封止します。

      ・シーリングコンパウンドは、スパチュラなどの平らな面に盛って、キャピラリー端に軽く押し付けるようにするとキャピラリー内にうまく入ります。

    8. キャピラリーを縦にして、コニカルチューブに入れ、室温(20℃)で静置します。
    9. ・・・・・

    10. 1~2週間の間、数日おきに結晶を観察します。

      ・タッチライトを点灯し、偏光板を2枚載せ、偏光板の間にキャピラリーを挟みます。

      ・上の偏光板を水平に回すと、光の通り方が変わります。結晶は光って見えます。